卒業生の声
京都府立大学史学科、歴史学科を卒業したみなさんの現在の様子を伝えます
「インタビューPDFはこちら」の記載があるものはリンクに詳細なインタビュー内容を掲載しています。
真田 凌太郎さん(2021年度歴史学科卒)
現在私は、株式会社トーセでゲームクリエイターとして、ゲーム開発における基本構成の企画や制作の支援に携わっています。 就職したきっかけは、在学中のキャリアプログラムです。 候補企業にあったトーセのプログラムに参加した私は、以降ゲーム開発や業界に興味を持つようになりました。
大学では西洋史ゼミでドイツの民間伝承を研究していましたが、就活時期はこの学問が直接活きない職業を目指すことに、少なからず不安を抱いていました。 しかし結果として、大学時代のゼミやサークル活動で培った、人に伝える・人の思いを汲み取るコミュニケーション力が仕事に大きく役立ち、微力ながらもゲーム開発者の一員として働くことができています。
大学生活を振り返ると、何を学ぶかではなくどのように学ぶか、を主体的に考えて行動することが重要だったと強く感じています。
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植津 光貴さん(2020年度歴史学科卒)
学部時代は日本史近現代史ゼミに所属しており、広義的には近代文化史を専攻しておりました。
学部卒業後は民間のアパレル系企業である「株式会社チュチュアンナ」へ就職しました。初期配属から2年間、営業部で卸営業を行い、3年目で商品部靴下事業部に異動し、主に生産した商品の引き取り、どこの店舗に何の商品を送るかなどの管理を行なっています。勿論、在学中学んだことが直結する仕事ではございませんが、学業を通して学んだ視点や思考力などは、どこの業界でも必ず役に立つものだと思います。
専門的なこと以外でも、そういった基礎力を学ぶことができた非常に有意義な学生時代だったと思います。
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伊藤 直之さん(2019年度歴史学科卒)
大学では西洋史コースに所属しており、近世フランス史を専攻していました。京都大学大学院に修士論文を提出したあとは、東寺近くにある私立洛南高等学校・附属中学校に就職しました。現在は中学1年生の歴史と高校1年生の世界史を担当しています。
また歴史学科での学業のかたわら、京都府立大学合唱団に所属しており、2~3回生時には指揮者もつとめていました。3回生時にはお隣の京都コンサートホールでもステージを指揮し、良い思い出になっています。その縁あってか、学校でも中高合唱部顧問として指導にあたっています。
洛南にはさまざまな生徒がいます。中学受験を経た生徒、高校から入ってきた生徒。学業に力を入れる生徒、部活動に力を注ぎゆくゆくはオリンピアンを目指す生徒。そうしたいろんな生徒や先生がたとのかかわりの中で、私自身も日々成長させてもらっています。
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川島 早智さん(2019年度歴史学科卒)
大学時代は、東洋史ゼミに所属し、朝鮮史の分野で卒業論文の執筆に取り組みました。在学中には、ゼミの先生の紹介で、韓国・ソウルにある漢城大学への留学も経験しました。東洋史を学びたいと思い、京都府立大学に入学したので、自分の一番やりたいことができましたし、尊敬できる先生や気の合う仲間と出会えたおかげで、とても有意義な大学生活を送ることができました。
現在は、京都産業大学で事務職員として勤務しています。外国語学部事務室という部署に配属され、学生の履修に関するサポートや学籍業務、次年度に向けた開講の準備など、幅広い業務に携わっています。
外国史を専門的に学び、留学を経験したことで、学生時代に自国以外の歴史や文化に触れることの重要性を感じ、高等教育へ携わりたいと思うようになりました。歴史学科での経験が、今の職に結び付いたと感じています。
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岩本 亮祐さん(2018年度歴史学科卒)
山口県の美祢市教育委員会事務局文化財保護課に所属し、埋蔵文化財の保護業務と史跡長登銅山跡の調査・整備を担当しています。考古学に関連する行政職に令和元年より奉職しており、現在3年となりました。埋蔵文化財の保護業務は、開発業者への対応・調整、調査など多岐に渡り、悩みながら日々精進しています。
他大学から京都府立大学大学院に進学し、考古学を学びました。在学中より、さまざまな調査に参加し、考古学における調査方法の技術やチームで作業することの重要性を学びました。史跡長登銅山跡の調査・整備業務では、既往調査成果の報告書をまとめる作業をおこなっており、在学中に習得したこういった技術や心得が役立っています。
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原田 直実さん(2015年度歴史学科卒)
株式会社九州文化財研究所の業務推進室に所属し、会社の営業・企画を担当しています。主には行政の文化財担当者の元へ赴き、会社の宣伝を行うと同時に、民間企業に発注する予定の業務について伺います。また、実際発注された文化財関連業務は、複数の同業者の中から入札を経て契約が締結される場合が多く、そのための入札参加や、その業務を行う場合どれくらいの経費がかかるかといった見積もりの作成なども行っています。
現在は本社のある熊本在住ですが、仕事で赴く場所は九州全域、中国・四国地域に及ぶこともあります。
仕事を通して多くの文化財やその関係者に出会うことができ、非常にやりがいを感じています。
私が卒業論文で取り組んだ時代は近世でしたが、会社の事業は発掘調査・遺物実測・保存処理・文献調査など多岐に渡り、時代や事業内容は様々です。会社に寄せられる発注者からの問い合わせに、より柔軟に対応できるよう積極的に学んでいきたいと思います。
稲穂 将士さん(2013年度歴史学科卒)
府大の大学院博士前期課程修了後、一度は民間企業に就職したのですが、研究の世界を諦めきれず1年で退職し、府大大学院の博士後期課程に進学しました。
博士前期課程進学以降は、海難事故をテーマに、近世における海運と地域社会との関係性や対外関係について研究しています。主なフィールドは丹後地域で、京都府立丹後郷土資料館所蔵の史料を中心に調査をおこなっていました。
そんな中、2019年に京都府教育委員会に文化財保護技師として採用され、現在は学生時代からお世話になっていた丹後郷土資料館に学芸員として勤務しています。現在の職に就いてからは、京都府北部地域を中心に府内の文化財調査、学校や地域の団体向けの出前授業、展覧会の企画などをおこなっています。最近では特別展「“玉の輿”大名家の栄光と苦悩—徳川綱吉・桂昌院と宮津藩本庄松平家—」を担当しました。調査は学生時代に専門としていた古文書以外にも、絵画・彫刻などの美術工芸品の調査もおこなっています。
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武田 南さん(2011年度卒)
現在は、愛媛県の私立愛光中学・高等学校で社会科教員をさせていただいています。学校規定の関係で、現在の身分は常勤講師ですが、来年か再来年には専任教諭として雇っていただけるとのことです。今は中学2年の歴史と高校2年文系の世界史を担当させていただいています。生徒も先生方も素敵な方ばかりで、毎日非常に充実した日々を過ごさせていただいています。
就職したきっかけは、学校から京大の東洋史研究室に募集案内が届いたことです。愛媛ということで少しためらいましたが、実際に受けて良い学校だとわかったことで就職することに決めました。なかなか専任教諭を見越しての採用は関西ではなかったので、教員に関しては、日本全国を対象に探さないと、なかなか専任として雇ってもらえないということを痛感しました。あとは、免許も公民をとっておけば受けられる学校は増えますが、進学校では専門教科に分かれるのであまり関係ないようです。(私の学校も3つ持っている先生はそれほどおられません。)
あとは、愛光では、台湾の学校との交流もあるらしく、中国語が少しできることも多少採用に響いたようです。また、元男子校で社会科教員が男性ばかりだったこともあり、女性の私を採用していただけたという経緯もありました。うまく自分の能力などが発揮できるような場所を見つけることができて、よかったと思います。
山添 道子さん(2011年度卒)
京都府立大学から他大学の大学院に進学し、現在は中国関連の書籍を扱う書店で働いています。
私は小さいころから美術館や博物館が好きで、人に学びや発見・感動を届ける仕事がしたいと考えていました。そこで、仕事に就く前に専門的な知識を深めておくのも良いかと考え、大学院に進学しました。その後の就職活動では、人に学びや発見・感動を届けたいという自分の思いが実現できそうな仕事―大学、出版社、美術品店など―を受けていました。現在勤めている会社には大学で学んでいた東洋史の知識が多少なりとも活かせると考え入社を決意しました。今は主に中国から輸入される書籍の仕入作業を行っています。本が少しでも早くお客様に届けられるよう、日々業務に取り組んでいます。
就職活動で大事なものは、熱意と情報だと思います。自分のやりたいことに関する情報を積極的に収集することが大切です。またたくさんの人に出会い、自分の考えを深めていくことも重要だと思います。
杉山 三佳さん(2010年度文学研究科卒)
私は現在、株式会社シーズ、トイ事業部生産管理チームで玩具の開発をしています。簡単に言うと、『おもちゃをつくりたい』という人と実際に生産する工場との間を取り持つ仕事です。特に私はPE(生産技術)として中国の工場により良い生産方式を理解し実践してもらうために、度々現地へ赴いています。大学で学んだ学問をそのまま活かす仕事ではありませんが、文化も言語も違う人々にどうやって自分の考えを理解し受け入れてもらうのかというプレゼンテーションスキルは、大学で学んだものです。そしてそれは、文系理系に関わらず社会人にとって必須のスキルであると日々感じています。
平林 瑞希さん(2010年度卒)
念願叶って、今年度から地元・滋賀県の公立高校の教諭として、教壇に立っております。大学を卒業して三年間、臨時講師として勤めていました。その間はずっと日本史を教えていて、今年ようやく自分の専門分野である世界史に帰ってきました。今は近代史を教えています。とはいえ結局のところ、現場では専門などあってないようなもの。これからも自分の幅を広げていかなくては、と思っています。
講師をしている間に、教師という仕事に対する世間の風当たりは随分強くなり、そんな折の新規採用で全く不安でないとは言い切れずにいます。先日、お給料も減りました。ですが、私に歴史を教えて下さった諸先生方のような、先生方に私が抱いた憧れを生徒が持ってくれるような、そういう大人になるべく、これから頑張っていきたいです。
“学ぶとは誠実を胸に刻むこと、教えるとは希望を語ること”
上記は勤め先の校長先生の好きな言葉で、第2次大戦期のフランスの詩人の言葉です。大学時代、私は恐らく必ずしも誠実な学生ではなかったと思います。それでも府大史学科で学問に勤しんだ時間が、歴史を生業に生きようとする私の根幹です。
中村ゆき子さん(2004年度史学科卒)
大学卒業後に彫金によるジュエリーメイキングを学び、Linea d’otto(リネアドット)として、京都市中京区にアトリエを立ち上げました。シンプルで丁寧な手仕事と、フィレンツェで学んだ手彫り装飾のシルバージュエリーを展開しております。
在学中から、もののデザインや人が装うことに関心があり、工業化以降・19世紀イギリスの社会生活の変化・デザイン運動・装飾美術などをあつかった書籍を読むなかから研究のテーマを探しました。現在に至るまで様々な変化がありましたが、いまも同じ問いを追っていると感じるときがあります。学びはかたちを変えてあらわれるようです。
東村 純子さん(2001年度史学科卒)
日本考古学協会大賞を受賞しました。
受賞対象となった『考古学からみた古代日本の紡織』(六一書房2011年3月刊行)は、京都府立大学で取り組んだ卒業論文、糸を紡ぐための小さな錘の研究から実を結んだ書です。京都大学大学院へ進学した後、京大総合博物館、国立民族学博物館に在籍し、遺跡から出土した織物・紡織具の研究を進めました。現在は、福井大学の教育地域科学部で博物館学・地域文化マネジメントを担当し、地域における文化財活用の実践にも力を注いでいます。
就活あれこれ
学校の就職カウンセラー以外に頼りになるもの
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・京都ジョブパーク
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マイナビ・リクナビ等々以外で使える求人サイト
・ネットTAM
トヨタがメセナの一環で運営しているサイト。美術・文化系の求人情報(美術館・博物館、公共ホール、美術ギャラリーなど)が集まる。
・財団法人 地域創造
地域での文化事業に関わることを行なっている財団法人のサイト。公共ホール等の求人情報が集まる。
・大学職員公募情報http://www.shokuin.com/
個人が運営しているサイト(?)大学および財団法人等の求人情報が集まる。
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